Electronでユーザーに変更させたい設定と変更させたくない設定を保存/読込するやりかた
Electronでアプリを開発していてアプリ設定を保存することは欠かせないと思います。
アプリ設定といっても、ユーザーに変更させたい設定と変更させたくない内部設定があると思います。
ここではその用途別にやり方をまとめます。
ユーザーに変更させたい設定を保存/読込
ユーザーに変更させたい設定は"electron-store"を使うことで簡単に管理できます。
electron-storeをインストール
vscodeのターミナルのところで以下のコマンドをたたきます。 typescriptの型定義もはいってるみたいでTypeScriptでも使えます。
npm install electron-store
保存する
コード内の任意のところでインスタンスを生成し、setメソッドでキーと値を指定することで保存できます。 以下の例はアプリ終了時にウインドウの大きさと位置を保存するコードです。
import Store from "electron-store"; win.on("close", () => { const store = new Store(); store.set("window.x", win!.getPosition()[0]); store.set("window.y", win!.getPosition()[1]); store.set("window.height", win!.getSize()[1]); store.set("window.width", win!.getSize()[0]); });
保存された内容を確認
Windowsだと以下のパスにjson形式で保存されます。
アプリ名はpackage.jsonに定義されているnameの値になります。
C:\Users\[ユーザー名]\AppData\Roaming\[アプリ名]\config.json
保存されているファイルは以下になっています。
{ "window": { "x": 114, "y": 335, "height": 600, "width": 800 } }
保存した設定を読込む
コード内の任意のところでインスタンスを生成し、getメソッドでキーを指定することで読み込みできます。
以下の例は保存したウインドウの情報を読み込んでウインドウを生成するコードです。
import Store from "electron-store"; async function createWindow() { const store = new Store(); // Create the browser window. win = new BrowserWindow({ x: store.get("window.x"), y: store.get("window.y"), width: store.get("window.width", 800), height: store.get("window.height", 600), webPreferences: { // Use pluginOptions.nodeIntegration, leave this alone // See nklayman.github.io/vue-cli-plugin-electron-builder/guide/security.html#node-integration for more info nodeIntegration: !!process.env.ELECTRON_NODE_INTEGRATION, //nodeIntegration: true, }, title: AppConfig.AppName, });
ユーザーに変更させたくない設定を保存/読込
ユーザーに変更させたくない設定はクラスで定義できます。
設定値を定義する
クラスを以下のように定義します。
staticメンバーとして設定値を定義します。
/** * アプリ設定 */ export default class AppConfig { /** * アプリ名 */ static AppName = "Empty Directory Cleaner"; /** * ロガー設定ファイル */ static LoggerConfigFile = "./log4js.config.json"; }
設定値を使用する
クラスをインポートして参照するだけです。
import AppConfig from "./models/AppConfig"; configure(AppConfig.LoggerConfigFile);
最後に
もっといいやり方があれば更新したいと思います。
Electron with TypeScriptアプリで開発に耐えうるログの出力をする
Electronのログの出力はlog4jsを使えばできることがわかりましたが、サンプル程度に出力する記事しかなかったので実際にアプリを開発して アプリ開発に耐えうるログ出力についてまとめます。
log4jsをいれる
javaを使ったことある方ならおなじみのlog4jそのNode.jsバージョンが"log4js"です。
今回はTypeScriptで使うので型定義もインストールします。
vscodeのターミナルで以下のコマンドをたたきます。
npm install log4js npm install @types/log4js
設定ファイルをおく
log4js用の設定ファイル(log4js.config.json)をルート(.gitignoreと同じ場所)に配置します。
一般的なアプリ開発でよく使うレベル別にインフォログ(app.log)とデバッグログ(debug.log)とエラーログ(error.log)の3つのファイルに分けて出力する設定になっています。
ログはルートの"logs"フォルダに出力されます。
ロガーの宣言をいれる
コード中にログ出力処理をいれます。
クラスごとに以下の宣言をいれればメインプロセス、レンダラープロセス問わずどこでも出力できます。
以下の例ではロガー設定ファイルのパスは内部設定から取得しています。
import { configure, getLogger } from "log4js"; import AppConfig from "../models/AppConfig"; configure(AppConfig.LoggerConfigFile); // configure("./log4js.config.json");でもOK const logger = getLogger();
ロガーを使ってログを出力する
宣言したロガーを使ってソースコード中でログを出力します。
例えば検索処理で検索パラメタをデバッグログで出力する場合は以下のような感じになります。
async search() { try { logger.debug("Search Directory Path:[ %s ]", this.mainData.searchDirectory); // ...
メッセージのフォーマットは以下のutil.format()に準拠しているみたいです。
ちなみにメッセージにフォーマットを指定せずに引数に渡した場合は末尾に追加されます。
出力されるログは以下です。
[2020-06-21 15:59:07.604] [DEBUG] Search Directory Path:[ E:\test ]
スタックトレースを出力する
log4jsではログ出力設定でenableCallStackをtrueにしたらスタックトレースが出力されます。
上記の設定ではerrorレベルのみログ出力フォーマットにスタックトレースの出力情報を追加しているため、
errorレベルでのみスタックトレースが出力されます。
以下のようにディレクトリ削除処理でエラーとなった場合、エラーログを出力するとします。
ipcMain.handle("deleteDirectory", async (event, dirPath) => { const succesDirectories: string[] = []; await trash(dirPath) .then(() => { succesDirectories.push(dirPath); }) .catch(() => { logger.error("error trash directory.", dirPath); }); return succesDirectories; });
出力されるログは以下になります。
[2020-06-21 16:19:32.357] [ERROR] error trash directory. E:\test\aaa d:\finalstream\newdev\edc\dist_electron\index.js 28738 20 at d:\finalstream\newdev\edc\dist_electron\index.js:28738:20 at async d:\finalstream\newdev\edc\dist_electron\index.js:28733:9 at async electron/js2c/browser_init.js:6152:30
・・・???。
そうです。Electronはjavascriptで動いているため、実際動作しているjsファイルの行数が出力されます。
あまり見ても役に立ちそうはないので、スタックトレースは出力しなくてもいいかもですね。
パッケージにログ出力設定ファイルを含める
このままパッケージングしてできたものを実行すると"log4js.config.json"が見つからないというエラーになってしまいます。
なので、electron-builderの設定で"log4js.config.json"をパッケージに含める設定を追加します。
module.exports = { // debug configureWebpack: { devtool: "source-map", }, pluginOptions: { electronBuilder: { nodeIntegration: true, builderOptions: { extraFiles: ["log4js.config.json"], // この設定を追加 }, }, }, };
これだけ知っていればアプリでのログ出力は十分だと思います。
ただ、Electronアプリを開発始めたばかりなのでほかにも必要なことがあれば追記していきたいと思います。
Electron with Vue.js でのデバッグのやり方をまとめる
Electronでアプリを開発しててデバッグのやり方につまずいたのでまとめておきます。
デバッグはメインプロセスとレンダラープロセスでやり方が違うので注意してください。
メインプロセスとレンダラープロセスがわからない方は以下の記事を確認いただければなんとなく理解できると思います。
デバッグする前の設定(vue.config.jsをおく)
ルート(.gitignoreと同じ場所)に以下のvue.config.jsを配置します。これはメインプロセス、レンダラープロセスどちらでのデバッグでも必要な設定です。
メインプロセスのデバッグ
メインプロセスのデバッグはVisual Studio Codeで行います。
手順は以下に書いてあるとおりにやればできましたが、英語なので簡単に必要なことだけ書きます。
1. デバッグ構成ファイルをおく
ルートにある.vscodeフォルダ(なければ作成)に以下のlaunch.jsonとtasks.jsonを配置する。
2. ブレークポイントをはる
background.tsの止めたいところにブレークポイントをはります。
3. vscodeからデバッグ実行する
構成は"Electron:Main"を選択して実行ボタン(緑の▷)をクリックします。
ちなみに"Electron:All"を選択するとvueファイルでもブレークできますが、切り替える必要があるのでレンダラープロセスは後述する方法がおすすめです。
4. とまる
変数の中身も確認できますし、値も変更できます。
レンダラープロセスのデバッグ(ロジック)
レンダラープロセスでのロジックのデバッグは通常のchromeと同様でデベロッパーツールで行います。
このデバッグ手順は通常のVue.jsでの開発も同じです。
1. デベロッパーツールのSourcesを開く
アプリを起動するとデベロッパーツールが右側に表示されているのでSourcesタブに変更します。
2. ツリーからvueファイルを選択する
ツリーにある"webpack://"を開いて"."フォルダを開いて"src"フォルダを開くとvueファイルがあるので選択します。
ファイル名の後ろに"?"がついているものもありますが、何もついていないものを選択します。
3. ブレークポイントをはる
vueファイルを選択するとソースが表示されるので止めたいところにブレークポイントをはります。
4. とまる
変数の中身も確認できますし、値も変更できます。
レンダラープロセスのデバッグ(Vue.js)
通常のVue.jsの開発と同様にChrome拡張を入れることでvueオブジェクトのデータがリアルタイムに確認できます。
1. Chromeのアドオンをインストール
Chromeを開いて"Vue.js devtools"をインストールします。
chrome.google.com
2. background.tsのコメントアウトを解除する
background.tsのapp.on("ready")にinstallVueDevtools()の処理がコメントアウトされているので解除します。
app.on("ready", async () => { if (isDevelopment && !process.env.IS_TEST) { // Install Vue Devtools // Devtools extensions are broken in Electron 6.0.0 and greater // See https://github.com/nklayman/vue-cli-plugin-electron-builder/issues/378 for more info // Electron will not launch with Devtools extensions installed on Windows 10 with dark mode // If you are not using Windows 10 dark mode, you may uncomment these lines // In addition, if the linked issue is closed, you can upgrade electron and uncomment these lines try { await installVueDevtools(); } catch (e) { console.error("Vue Devtools failed to install:", e.toString()); } } createWindow(); });
3. デベロッパーツールでVueタブを選択
アプリを起動してVueタブを選択し、Vueオブジェクトを選択するとデータが確認できます。変更もできます。
※ Vueタブが表示されない場合
Electron 9.0だとVueタブが表示されないという事象が発生します。
その場合、vue uiからアプリを起動するとコンソールに以下の表示がされていると思います。
(electron) 'BrowserWindow.addDevToolsExtension' is deprecated and will be removed. Please use 'session.loadExtension' instead. (node:5400) ExtensionLoadWarning: Warnings loading extension at C:\Users\final\AppData\Roaming\emptydirectorycleaner\extensions\nhdogjmejiglipccpnnnanhbledajbpd: Unrecognized manifest key 'browser_action'. Unrecognized manifest key 'update_url'. Permission 'contextMenus' is unknown or URL pattern is malformed. Cannot load extension with file or directory name _metadata. Filenames starting with "_" are reserved for use by the system. (node:5400) ExtensionLoadWarning: Warnings loading extension at C:\Users\final\AppData\Roaming\emptydirectorycleaner\extensions\nhdogjmejiglipccpnnnanhbledajbpd: Unrecognized manifest key 'browser_action'. Unrecognized manifest key 'update_url'. Permission 'contextMenus' is unknown or URL pattern is malformed. Cannot load extension with file or directory name _metadata. Filenames starting with "_" are reserved for use by the system.
これについて調べたところ、electron-builder公式のissueにありました。
background.tsのfunction createWindow()のところを以下のようにasyncとawaitを追加します。
// ①↓asyncを追加 async function createWindow() { // ... if (process.env.WEBPACK_DEV_SERVER_URL) { // Load the url of the dev server if in development mode // ②↓awaitを追加 await win.loadURL(process.env.WEBPACK_DEV_SERVER_URL as string); if (!process.env.IS_TEST) win.webContents.openDevTools(); // ...
これでデベロッパーツールにVueタブが表示されるようになりました。
ちなみにこの対処方法は6/13に判明したのですが、それまではCtrl + Shift + iでデベロッパーツールを開き直せばいけてました。
最後に
vscodeでアプリをデバッグ起動してbackgroud.tsにブレークポイントをはって、デベロッパーツールでvueファイルにブレークポイントをはればメインプロセスとレンダラープロセスの連携した動作もデバッグできるようになり、Vue.js devtoolsで変更検知されているか確認できるのでElectronのアプリ開発が捗りますね。